クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
他のメンバーが営業部と企画部のデスクを広々と繋げて作業スペースを作り、残りのパネルの梱包を開封していく。その間、私は修正用ロゴデータの色合わせに苦戦していた。
制作部のデザイナーも手伝ってくれ何度もテストプリントを繰り返し、ようやくパネルの地色に合う色に調整ができたので、一気に出力していく。
出力されたラベル紙を見て、部長が「御空くん、いい仕事するじゃないか!」と言いながらデスクにどっかり腰を据えると、ものすごい手つきでラベル紙を裁断し始めた。
すぐに先輩もその隣で作業を開始する。
「……ほう、さすがだな主任。だが、角の落とし方が甘いぞ!」
「部長、今はスピード重視です。講釈はいいですから手を動かしてください」
「ハッハッハッ! お前も言うようになったな! それにしても昔を思い出す。こんなこと日常茶飯事だったぞ!」
「……部長、手が止まってます」
「へーへー! 怖い怖い!」
そんな二人のやり取りを見ながら、私はいつの間にかパネルの発注ミスへの後悔を忘れ、作業に集中できるようになっていた。
先輩から手渡された裁断済みのラベルをパネルに貼る作業も、なかなかの重労働だった。気泡やシワが入らないよう、二人一組で慎重に呼吸を合わせ、端から少しずつ空気を抜いて貼り進めていく。
部署や役職の垣根が取っ払われ、誰もがそれぞれの役目に没頭していた。
深夜のオフィスに響く、リズミカルなカッターの音。そして部長の「いかん、目の焦点が合わんくなってきたぞ……」「この体勢は腰にくるな……ストレッチ、ストレッチ」という心地よいぼやき。
そのあまりの非日常さと徐々に高まる一体感に、私は不思議な高揚感を覚えていた。
もし私一人だったら……絶望して何もできないまま泣いていただけだったかもしれない。
でも、先輩の一声で始まった、普段ならあり得ない今のこの空気。
私は先輩の真剣な横顔を一目見てから、自分の作業に集中した。
制作部のデザイナーも手伝ってくれ何度もテストプリントを繰り返し、ようやくパネルの地色に合う色に調整ができたので、一気に出力していく。
出力されたラベル紙を見て、部長が「御空くん、いい仕事するじゃないか!」と言いながらデスクにどっかり腰を据えると、ものすごい手つきでラベル紙を裁断し始めた。
すぐに先輩もその隣で作業を開始する。
「……ほう、さすがだな主任。だが、角の落とし方が甘いぞ!」
「部長、今はスピード重視です。講釈はいいですから手を動かしてください」
「ハッハッハッ! お前も言うようになったな! それにしても昔を思い出す。こんなこと日常茶飯事だったぞ!」
「……部長、手が止まってます」
「へーへー! 怖い怖い!」
そんな二人のやり取りを見ながら、私はいつの間にかパネルの発注ミスへの後悔を忘れ、作業に集中できるようになっていた。
先輩から手渡された裁断済みのラベルをパネルに貼る作業も、なかなかの重労働だった。気泡やシワが入らないよう、二人一組で慎重に呼吸を合わせ、端から少しずつ空気を抜いて貼り進めていく。
部署や役職の垣根が取っ払われ、誰もがそれぞれの役目に没頭していた。
深夜のオフィスに響く、リズミカルなカッターの音。そして部長の「いかん、目の焦点が合わんくなってきたぞ……」「この体勢は腰にくるな……ストレッチ、ストレッチ」という心地よいぼやき。
そのあまりの非日常さと徐々に高まる一体感に、私は不思議な高揚感を覚えていた。
もし私一人だったら……絶望して何もできないまま泣いていただけだったかもしれない。
でも、先輩の一声で始まった、普段ならあり得ない今のこの空気。
私は先輩の真剣な横顔を一目見てから、自分の作業に集中した。