クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日

#19【凛視点】「駅まで、一緒にいいですか?」——初めて自分から追いかけた夜

年が明けた。
全社的な新年会の、騒がしい熱気の中。
私はビールのグラスを片手に、遠くの席で談笑する先輩の姿をこっそりと目で追っていた。

年末年始の長い休みの間、私は一人でずっと考えていた。
あの日、先輩から手渡された企画書のこと。そして、自分の本当の気持ちのこと。

(……あれから一年半。本当に色々なことがあった)

初めてのプレゼンでミスして先輩に庇ってもらったこと。
怖い人だと思っていたのに、そうじゃないと気づいてから、先輩のことを一つずつ知るたびにどうしようもなく惹かれていったこと。
自立するためにリーダーを引き受け、先輩との間にできた明確な距離に孤独を感じて泣きたくなる夜もあった。

一度だけ、無理にこう考えてみたこともあった。
——この気持ちは、ただ仕事で憧れているだけなんじゃないか、と。
……でも、すぐに首を振った。仕事での尊敬だけなら、「りんりん」という一言だけであんなに胸がドキドキするはずがない。

改めてはっきりと自覚したのだ。
先輩を想う私の気持ちは、ずっと変わっていないと。

——だったら、どうすればいい?

…思い切って、この気持ちをそのまま伝えてしまおうか。

時折見せてくれた、私への好意だと信じたくなるようなあの耳の赤さや眼差しを思い出すと勇気が出るけれど、次の瞬間にはあの完璧な「上司」としての振る舞いが脳裏をよぎって甘い期待を打ち消していく。
今の私が何を言っても、彼が引いた強固な一線の前ではまともに取り合ってもらえない気がして怖い。
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