クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
「そんなことより先輩! 私たち、こうやって二人きりで飲むのって初めてですよね!」
「……そ、そんなことよりって……りんりん、お前な……」
「色々聞いちゃってもいいですか? 私、先輩に聞いてみたいこと、山ほどあるんです」

「色々って……なんだ?」
警戒するように目を細める先輩に、私は楽しそうに、思い出の扉をノックする。

「SNS企画の予算の件! 最終的に部長、ハンコ押してくれましたけど。私、小耳に挟んだんですよ? 先輩が、あの部長に直接突撃してくれたって!」

(……給湯室でたまたま聞いちゃったんだよね。『頼むから先輩には内緒にしてくれ』って、同期すごく焦ってたっけ。誰からとは言ってないから大丈夫だよね)

先輩は、グラスを口に運ぼうとした手を止め、あからさまに視線を泳がせた。

「!……なぜそのことを…?まぁいい……別に、ロジカルに説明しただけだ。……あの部長は数字にうるさいからな」
「えーっ、それだけじゃないはずです! あの、石橋を叩いて壊すタイプの部長ですよ? 『もし失敗したら、会社の顔に泥を塗るぞ!』って、絶対いつもの小言言われましたよね?」

「……まあ、言われたがな。……でも、最後は部長も折れたんだ。『そこまで言うなら、お前の顔を立ててやる』ってな」
「えっ、先輩、なんて言ったんですか? 教えてください、先輩の必殺フレーズ!」

私のキラキラした視線に、先輩は観念したように声を潜めた。
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