クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
——なんて、心の中で強がってみるけれど。

本当は、グラスを握る手が微かに震えていた。
プロジェクトが終わって、ただの他部署の後輩に戻ってしまった私には、もう彼を堂々と誘う口実がない。
「謝罪」という今日限りのカードを使い切ってしまったら、明日からまた、遠くから見つめるだけの日々に逆戻りだ。

(だから、今日しかない。……今日、この壁を壊せなかったら、もう終わりなんだ……)

焦りをごまかすようにグラスを傾け、私はさらに先輩へと笑顔を向けた。
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