偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 いつもの肉屋の前を通ると、いつものようにおかみさんに声をかけられた。
「春花ちゃん、おかえり!」
「ただいまー!」

「あら、今日はお父さんの肩車? 良かったねえ」
「たかいの」
 おかみさんが東條を上から下までじっと見る。
「背、高いもんねぇ。しかも、男前だわー! 依織ちゃん、素敵な人じゃない!」

 いえ、違いますと依織が言う前に東條の声が響く。
「ありがとうございます」
 下町のおかみさんにも東條は爽やかに返事をする。

 お肉屋さんのおかみさんはいい人だが、話好きでもある。
 明日には商店街中に、依織が男性と一緒にいたと知られていそうだった。
 依織は顔から火が出そうだ。

「東條さん」
「ん?」
「今日、夜ごはんはどうされますか?」
「いや、決めていないけど……」

 依織はじっと東條を見る。
「食べていかれます?」
「いいのか?」
「その、お迎えも来てくださったし……」
「依織の手作りだ。嬉しいよ」

 今後のことはまた別として、東條が春花の父親であることには変わりない。
 一緒に夜ごはんも食べられると分かって、東條の肩車の上で春花も喜んでいる。
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