偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
「もう少しでできますから」
「依織」
「はい?」

 照り焼きがもうすぐ出来上がりそうだ。依織はフライパンの様子に気を取られていた。

「家に入れてくれて、ありがとう」
 依織が振り返った時には東條は春花を抱き上げている。
 ふっとこちらに向けた目線に依織はぎゅっと胸が痛くなったのが分かった。

 食事のあと、依織が片付けしていると東條が声をかけてくる。
「依織、春花が眠そうだ。お風呂に入れてもいいか?」
「いいんですか?」
「もちろんだ。春花、一緒にお風呂に入ろうか?」

 東條が尋ねると、春花は目を擦りながら東條の足にしがみついた。
「一緒にはいる」
「あら、本当に眠そう。急いでお湯を入れるわね」
 二人でお風呂場に向かう背中を居間から見送った。

 お風呂場で春花と東條が話している声が聞こえてくる。狭い家だから筒抜けなのだ。
「へー、春花は数も数えられるの? じゃあ、肩まで浸かって数えようか」
「わかった! いーち、にー、さーん……」

 お風呂場から聞こえてくる二人のやり取りがとても微笑ましくて、手を動かしながらも笑ってしまう。
 台所の片付けをして、洗濯機を回し、明日の準備をする。
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