偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
「春花、寝た?」
「はい」
 東條は髪から滴る水をタオルで拭いていて、色香がこぼれるようだった。

 そのまま見ていることなんてできなくて、依織はそっと目を逸らす。
「あ、ごめんなさい。ドライヤー、ここにあります」
「うん。さっき、春花を乾かしてたよね。俺も乾かしてもらっていい?」

 せっかく目を逸らしたのに、甘えるような表情をする東條は今まで見たこともないもので、その顔に逆らうことはできなかった。

(そんな顔、ズルい)
 自分の気持ちがバレていないといい。

 目の前に立った東條からはボディソープの香りがする。
 それはいつも依織が使っているもののはずなのに、東條から香るとまるで違うもののように感じた。
 一気に心拍数が上がり、胸がドキドキと大きな音を立てる。

「東條さん、背が高いから座ってもらってもいいですか?」
「うん」
 依織の前に座る東條の髪を後ろに立ってドライヤーをかける。

(髪、柔らかいんだ……)
「乾かしてもらうのって、気持ちいいな」
 甘くて優しい時間に錯覚しそうになる。
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