偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 東條はしばらくレセプションに参加していたけれど、ある程度交流を終えて帰っていき、依織もお見送りを後ろの方でしていた。

 送迎の車に乗る直前、彼と目が合ったような気がするけれど、それはきっと気のせいだろう。
 会場に戻って少しだけ名刺交換をしたあと、依織は帰宅した。


 その数日後のことだ。
(あれ? ペンがない!)

 依織が探しているペンは入社のときに両親がお祝いでくれた名入りのボールペンでとても大事にしていたものだ。

(いつ出したっけ?)
 必死で思い返すと、あの文化交流説明会の時に使ったことは間違いない。

(あの時はポケットに入れて……)
 それからペンケースに戻す予定だった。
 バタバタとしていて戻し忘れたようだが、あの時着ていた服のポケットにはなかった。

 昨日、洗濯をした際もボールペンは出てきていないからだ。

 依織は紛失していたことに気づかなかったなんてと泣きそうな気持ちになる。
(どうしよう。とても大事なものなのに)
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