偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません

6.

「ヴェルディア共和国という国を知ってる?」
 ニュースで目にしたことはあった。確か、クーデターが起こった国だったはずだ。

「はい。ニュースで。軍部によるクーデターが発生した国ですよね?」
 まさかと思う。依織は横にいる東條の顔を覗き込んだ。

「そちらに……行かれていたんですか?」
「邦人を救出しなくてはいけなかった」
 そう言えば、つい最近になってすべての邦人が帰国したというニュースを目にしたかもしれない。

 もう済んだことだからか、東條自身は凪いだ表情ではあったけれど、確かに過酷な任務だったのだろう。
 あの時東條は『命の保障もない』と言っていたのだ。その言葉に間違いはなかった。

「ごめんなさい……」
 東條は命を賭して他の人を助けていたのに、依織は連絡を絶った。
 今、冷静に考えたら連絡を絶つ必要まではなかったのに。

「いい。もういいんだ。それよりも一人で大変な思いをさせてごめん。本当は一緒にいたかった」
(もういい……)
 依織の心にそんな言葉が思い浮かぶ。

 認めたらそれはふわりと自分の頑なな心がほどけるようだった。
 許す。許さなくては自分が後悔する。

 こんなに強くて思いやりのある人を突き放したら、後になって自分を責めることになるだろう。
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