偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
「悲しかった。あの時別れる選択をした東條さんをひどいと思いました。本当のことを言えば、私ももっと一緒にいたかった」
 素直な気持ちだった。

 依織の手にしていたカップを受け取り、東條はキッチンのカウンターにそれを置くと、依織を包み込むように抱きしめた。

「悪かった、依織。俺も側にいたかったよ」
(この言葉でもう十分)
 依織は東條の背中に手を回す。

「待ってと言えない東條さんをもっと信じたらよかったです。私も連絡を絶ってごめんなさい。今でも、大好きです」
「依織……」

 ぎゅっと強く抱き締める東條の気持ちが痛いくらいに伝わるようだった。
 依織が顔を上げると、じわりと滲んだ東條の顔が目の前にある。それは依織の涙のせいだった。

 東條が目元に浮かんだ涙をそっと拭いてくれて、ゆっくりと二人の唇が重なった。
 それはこの前とは違って、深いキスになる。唇をゆるりと舐められて、そっと開けると中まで深く探られた。

 舌が何度も絡んで、その感触に身体が蕩けそうだった。
「いい?」
 そう聞かれて、こくっと依織は頷く。
< 118 / 169 >

この作品をシェア

pagetop