偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 東條は接客用ブースのうちの一つにいた。
 以前会った時と同じくスマートな三つ揃いのスーツ姿で、自然に背筋を真っすぐにした姿勢で座っていた。

「東條様、こんにちは」
 依織はブースの入口で東條に声をかける。

「桜葉さん、申し訳ないです。急に呼び出して」
 さっと東條は立ち上がった。にこやかに依織に向き直る。

 交流会の時は距離もここまで近くなかったし、周りにたくさん人もいた。

 急に二人きりのような状況になって、依織は東條の存在を意識し、顔が熱くなるのが分かる。

「……桜葉さん?」
「あ、すみません! ご用件を……」

 東條はふっと微笑むと、スーツの胸ポケットから一本のボールペンを差し出した。
 見覚えのあるものだった。

「あなたのではないですか?」
 依織はボールペンに飛びつく。
「私のです! 探していたんです!」
「やっぱりそうでしたか」

 依織は東條からボールペンを受け取り、しっかり確認する。
 間違いなくそれは依織が両親から贈られたあのボールペンだった。ローマ字で依織の名前が入っている。
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