偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 冗談かと思っていたが、東條にそんな話が通じるわけもなく、高級住宅街の中にある東條の家へそのまま連れていかれた。

 東條が呼び鈴を押すと、中からお手伝いさんが出てくる。
「ご主人様と奥様をすぐにお呼びしますね」
 そう言って案内されたのは、シャンデリアも見事な応接室だった。


「悠臣、珍しいな」
 ドアを開けて現れたのは、東條にもどこか似た、けれどそれよりももっと貫禄のある男性だった。
 東條の父なのだろうということはすぐに分かった。

 後ろには綺麗な女性がいて、それが東條の母なのだろう。依織と目が合うとにこりと微笑んだ。
「悠臣さんはお忙しくて、なかなかこちらには来られないから嬉しいわ」

 二人が席につくと、東條はすぐに口を開く。
「時間がないので、単刀直入に言います。婚約者の桜葉依織さんを連れてきました」

「婚約者……悠臣さんはてっきり橘さんとお付き合いをされているのかと……」
 母は突然東條が依織を連れてきたことに驚いているようだった。

 はあ……と大きくため息をつき、東條は髪をかき上げる。
「そんな訳ないでしょう。一度でも彼女を交際相手だと紹介しましたか? お母さんがそんなだから、彼女が誤解をするんだ」

「そんなこと言っても悠臣がはっきりしなかったからだろう。それに同じ外務省勤務だし、彼女はいい妻になるんだろうと思っていたが」
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