偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 とてもスマートだが、いつもこんなことをしているのだろうか?

 そんな考えが顔に出ていたのかもしれない。東條は依織に向かって苦笑した。
「普段はこんなことしませんよ」 

 それはどういう意味なんだろうか。
(今回が特別ということ?)

 ついそんなことを考えてしまいそうになり、自然と頬が赤くなるのが分かって、依織はそれを手で押さえた。

「連絡します」
 そう言って、東條は席を立つ。

 とても現実のこととは思えず、依織はこくりと頷いた。ふわりと爽やかな香水の香りを残し、東條が依織の横を通って、来客用のブースから出ていくのをただ見送ることしかできなかった。

 両親からもらった大事なボールペンはその日から、さらに思い出の品となったのだった。

 連絡があるかもしれないと思っていた東條からはその日のうちには連絡がなかった。
 きっと忙しいのだろうし、社交辞令だったんだろうと依織は連絡先だけを登録しておいた。

 いつものように日々を過ごして三日程が経過し、ふと帰り道にスマートフォンを確認したときのことだ。
(え……?)

『交流会でお世話になった東條です。来週、水曜日のご都合はいかがですか? いいお店を見つけたのでご一緒にどうですか?』

 そんなメッセージのあとに、お店のURLが貼り付けてある。
< 15 / 26 >

この作品をシェア

pagetop