偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 凄腕の外商員はにっこり笑った。
「ありがとうございます。ご一緒にお届けいたします」
「商売上手ですね」
 依織が苦笑すると外商員は澄ました顔をした。
「恐れ入ります。春花さまのものもお気軽にまたお申しつけくださいませ」

 きっと数年後にはこの人に春花のランドセルをお願いすることになりそうだと依織は想像して楽しくなった。


 『対外文化発信プロジェクト』
 このプロジェクトがスタートした時の説明会で依織と東條は出会ったのだった。

 その後いろんな企画が順調に進行していると聞いている。
 今回、ゲストとして参加できるのはとても光栄なことだった。しかも東條も一緒に。
 あの時は壇上にいた東條を下から見ていた。

 まさか、横に立つ日が来るなんてことは考えていなかったし、今でも信じられないくらいだ。
 それでも東條は依織の横で、一緒に微笑んでいてくれる。これ以上はないくらいの幸せだった。

 今日も東條は担当の外交官として壇上に立って挨拶した。
『本日はお越しくださり、心より御礼申し上げます。私はこれまで、さまざまな国で多くの文化に触れてきました。そのたびに感じるのは文化とは、国の境界を静かに越えて、人の心に寄り添う“やわらかな力”だということです』
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