偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 その挨拶は過酷な国での任務を終えた東條らしかった。
『今日ここに生まれる対話が、国と国、人と人を結ぶ、あたたかな橋となりますように。そして、皆さまが日本の息づかいの中に、どこか懐かしい温もりを見つけてくださることを願っております。以上をもちまして私の挨拶に代えさせていただきます』

 会場内に丁寧な拍手の音が響いた。
 壇上から降りてきた東條は真っすぐに依織を見つけて、微笑む。依織も笑顔を返した。
 きっと気持ちは伝わったはずだ。

 その後、いつものようにいろんな人に囲まれる東條の姿を確認して、依織も自分の仕事に戻る。

 普段は東欧の関係者に会うことが多いがこちらの交流会では、普段顔を合わせることのない欧米の関係者も多いので、その中で名刺の交換や今後日本文化に触れるにはどうしたらいいか、などの相談に応じる。

 するとそんな依織を一人の人物が見ていることに気づいた。
「桜葉さん……」
「え? 御堂さん?」
 御堂は依織がすっかり変わってしまったことに驚いている様子だった。

「NPO法人で活躍しているとは聞いていたけれど、こんなところで会うとは思わなかった。なんだか、すごく綺麗になったね」
 依織が困ったとき、親切にしてくれた御堂に今も感謝していた。
 仕事を続けていけたのも御堂のおかげだ。
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