偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 依織は一瞬言葉を失う。
「え、ええ。そうです」
「依織が自然な笑顔を向けてた。それに彼の距離が近くて……」

 本当にヤキモチ? この人が?
「公私混同ですよ、参事官」
 いたずらっぽく囁いて、東條の顔を見ようと見上げると、見られまいとして東條が顔を横に避けている。

 それでも赤くなっている首元と耳元を発見して依織は胸がきゅんとした。
「見るな。嫉妬なんだ」
 依織は背伸びして、頬にちゅ、と口づける。

「公私混同じゃないのか?」
 もう立ち直ったらしい。

 今度は東條が依織に不敵な表情を見せて、顎に手を添えて顔を上向かせ、キスをする。
 始めは軽く口づけるだけだったそれが、深く依織の口の中を探り、依織の弱いところをくすぐすように舌先で刺激する。

 熱くて蕩けそうなキス。いつもは何か始まる時のキスだ。
 脚ががくりとして力が抜けそうになった依織の身体を難なく東條が支える。

「今は『私』でいたいな。君は俺の恋人で、娘の母親で……俺の人生だ」
 こんなところで途轍もない決意表明をされて、依織は潤んだ目で東條を見つめることしかできなかった。
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