偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません

エピローグ

「依織、今日もありがとう」
 夜、自宅のリビングではお風呂も終わり、春花を寝かしつけ、テレビも消した静かな時間だった。

 疲れて少し眠気が勝っている依織は東條の肩に頭を寄せている。
「お役に立ててるならいいんです」
「依織……」

 東條の声に決意がこもっているような気がして依織は一気に目が覚めた。
『別れて……くれるか?』
 そう言われたあの夜の声と同じ……。

 依織は身体を起こして東條を見る。
 真剣な表情に心臓がどきどきと大きな音を立てていた。
(まさか今頃、別れ話? そんな訳は……)

「俺は以前、それが依織を守ることなんだと信じて別れるという選択をした」
 静かなリビングに東條の声が響く。

 依織は黙って聞いていた。
「今後、そういうことはしない。大変なこともあるかもしれない。それでもついてきてくれるか?」

 揺るぎない思いと覚悟を感じさせる声だった。その言葉にどれほどの決意を込めているのか。想像するだけで東條の思いを察することができる。

「当然です……っ」
 涙をこらえて依織は東條を真っすぐに見つめた。
「結婚しよう」
「してますよね?」
「そうじゃない。結婚式を挙げよう」
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