偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 依織は軽く息を呑んだ。もう春花も三歳になる。
 結婚式を挙げることは諦めていた。
 三ヶ月ほど前に入籍して、依織は今正式に『東條依織』となっている。

「でも、そんな今さら……」
「俺の都合で結婚式が延期になっていたことにすればいい。名実ともに俺の妻になってほしいし、それを周知したい。周りにも俺の妻は依織で、春花は俺の子なんだと身内には広く知らせておきたい」

 社交の場で依織は東條のパートナーとして認知されつつある。
 それでも、みんなと共有したいと言ってくれることが依織には嬉しかった。

「はい。したいです。結婚式……」
 東條のお嫁さんとして大事な人たちが祝ってくれたら、きっとこれ以上の幸福はないのだろうから。

 * * *

 結婚式当日の朝、控室でネクタイを結びながら東條は人生で一番集中できていなかった。
「……進行に問題はないですか?」

 すでに三回目の確認で、会場のスタッフが苦笑する。
「新婦さまのご準備も予定通りですよ」
 分かっている。
 それでも腕時計を何度も確認し、深呼吸を繰り返す。
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