偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 正直、外交交渉より緊張しているかもしれなかった。
 控室にいる遥斗があきれたように東條の肩を叩いた。
「お前、普段は国を背負って交渉することもあるんだろう」

「国への覚悟はいつでもできてる。けど、依織は俺の命なんだ」
 実際にその通りで、その場にいた東條家の男性陣はみんな妻が命なので、東條の発言には黙るしかなかった。

 * * *

 一方の花嫁控室では依織も準備を終えていた。
 依織はドレス姿で同じく白のドレスに身を包んだ春花の前にしゃがむ。
「ママ、お姫さまみたい」
「春花もお姫さまね」
 二人で顔を見合わせて笑った。

 ──本当にここまで来たのね。
 誰にも言えなかった日々も、一人で抱えた夜も、全部今日に繋がっていた。

 思い返すと少し目が潤んでしまった。
「ママ? なきそう……」
 春花が心配して顔を覗き込んでくる。
「ふふ、大丈夫よ」
 その時、扉がノックされ、控室の空気がふっと揺れた。
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