偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 会場スタッフかと思ったら、現れたのはタキシード姿の東條だった。
 吸い込まれるように依織は見つめてしまう。

「欧米のジンクスで結婚式の前に顔を合わせない方がいいというのはなぜか知っているか?」
 突然の東篠からの質問だった。
「いえ……」
 答えなんて思いつくはずもない。

 いつもは黒いタキシードなのに、今日に限って新郎用の白のタキシードなのだ。
 それが清廉な東條の雰囲気にマッチしていて、依織に何かを考えることなんて許さなかった。
 浴びるような色香の中、むしろ答えなんて思いつかない。顔が真っ赤になっていることを自覚する。

「昔は政略結婚が多くて、新郎が花嫁を見て気が変わらないようにという意味があったそうだ。俺達には当てはまらないと思わないか? 少なくとも俺には意味がない」
「あ……それは」

 確かにこんな東條を心の準備なしに見たら、式次第も頭から吹っ飛びそうだ。
「最近は政略結婚が少なくなってきていて、ファーストルックを演出するためと言われているそうだが、それも俺には不要だ。演出じゃなくてもいつでも依織は綺麗だからな」

 全く同意だった。
「つまり式の前に花嫁を見ない方がいいというのは俺達には適用されない」
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