偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 一瞬二人の目が合って思わず笑ってしまった。
「こんな、来た途端に水を飲むなんて無作法だったよな」
「いいえ。急いで来てくださって、ありがとうございます」

 初めは緊張もしていたけれど、食事が始まると東條は話題も豊富で時間が過ぎるのがあっという間だった。

 コース料理のいちばん最後に出てきた可愛らしいデザートと紅茶を楽しんでいたら、改まった東條が口を開く。

「とても楽しかった。桜葉さん、今度週末にでも一緒に出掛けませんか?」
「え?」
 こんなにストレートに誘われたことはなかった。

 依織自身も東條のことは好ましく思っている。
 また会えるというのは想像するだけでも胸がときめいた。

「でも、お忙しいのじゃないですか?」
「それでも会いたいんです。ダメかな?」

 依織は顔が赤くなるのを自覚しながら首を横に振った。
「私もお会いできたら嬉しいです」

 その返事を聞いて、東條は嬉しそうな表情になる。
「良かった。また連絡します。打ち合わせしよう。日帰りで……少し遠出してもいいね」

「あ、それならもしよろしければ……」
 依織は郊外の古い町並みが残っている場所を提案した。
 近いうちに一人でも行こうと思っていたところだ。
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