偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 石畳の通りの両側に並ぶ蔵造りの建物は、黒と白のコントラストが美しく、古めかしさや重厚さを感じさせる。

 それとは対照的に、通りに並ぶ軒先には風に揺れる暖簾や色とりどりの和菓子なども並んでいて、たくさんの観光客が思い思いの時間を過ごしていた。

「いい街並みだな」
「ええ。海外の方もいらっしゃいますけど、まだそれほど多くないように感じます」
 通りでは食べ歩きの人が楽しそうな笑顔を見せていた。

「電車でも都心から来られるからな。きっと京都などよりは少ないんだろうが」
「観光の時間が短い方はぜひこちらにも足を伸ばしてほしいですね」
「そうだな」

 お昼の時間に近かったので二人で古民家風のトラットリアに入る。
 季節のコースは前菜からメインディッシュ、デザートとコーヒーまで提供があり、インテリアや料理も和洋折衷だった。

「飛び込みで入った割に、当たりの店だったな」
「すごく美味しいですね。お腹いっぱいになっちゃいますけど」

「後でたっぷり歩くからいいだろう」
 澄ました顔でそう言われて、依織は笑う。
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