偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません

1.

 やがて定刻になると、壇上のスクリーンが点灯する。
 司会がマイクを手に取った。

「本日はご多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。本説明会では、来年度より実施する対外文化発信プロジェクトについてご説明いたします。ではまず外務省の東篠一等書記官よりご挨拶を賜ります」

 照明が少し落ち、壇上へ一人の男性が歩み出た。
 端正なスーツ姿の男性は先ほど依織が案内した彼だった。軽く一礼すると、落ち着いた声で口を開く。
 とてもよく通る声だった。

「本日はお集まりいただきありがとうございます」
 彼の背後のスクリーンにスライドが映る。

「本プロジェクトは、日本文化の魅力を海外へ発信し、文化交流と観光促進を同時に図ることを目的としています……」

 依織が在籍している海外企画部は、海外からのインバウンド観光客を誘致する。
 特に魅力的な国内旅行の企画を、海外の旅行会社とも連携しながら提案する部署だ。

 今回の文化発信プロジェクトはまさにそんな部署にぴったりのプロジェクトだった。

 海外企画部の中で依織は事務担当だ。同じ部署のメンバーはみんな会場の中で名刺を配ったり、交流しているのが目に入る。
< 3 / 8 >

この作品をシェア

pagetop