偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
「東條さん、車を正面に回しましたので、行きましょう」
 主催者の他、旅行代理店や団体の代表者に囲まれて、東條はボールペンをスーツの内ポケットに入れる。
(彼女の名刺はある)

 ここで慌ただしく渡すより、ゆっくり時間を取った方がいい。
「ありがとうございます。行きましょう」

 東條は依織との次の出会いを内ポケットに入れ、近いうちに連絡を取ることを決めていた。

 * * *

「ふわー、すごい雨でしたね」
 東條との食事の帰り、レストランから駅に向かって二人で歩いていたら、急な豪雨に巻き込まれ、慌てて近くのビルの軒先へ避難したところだ。

 依織はカバンからタオルハンカチを取り出すと、東條の肩を拭いた。その手を握った東條は依織の手からそっとタオルハンカチを取り上げて、依織の頭を拭く。

「桜葉さんも濡れてる」
 東條が着ていたジャケットを脱いで、依織の身体に掛けた。

「これじゃ東條さんが寒くないですか?」
「いや、濡れて服が……」
 ふと顔を下げると、ブラウスがすっかり透けて下着が見えていた。
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