偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 バスルームの入口がガラス張りだから、気を使ったのだろうということが分かる。
 入浴剤も入っているからお湯の中は見えないだろうと思うが、依織は深めに湯船に入る。

「着替え、持ってきたから置いておく。俺のパーカーくらいしかなくて申し訳ないんだけど」
「いえ……ありがとうございます」
「ゆっくりして」
 そう言い残して東條はバスルームを出ていった。

(優しいなぁ)
 東條の気持ちにもお湯でも温まった依織は、風呂から上がり、用意してもらったパーカーを着る。

 ふわりと柔軟剤の香りがする。自分の家とは違う東條の香りにドキドキさせられた。小さなことでもすぐに胸の鼓動が早くなって困る。
 長身の東條は腕も長いらしく、依織ではパーカーの袖から手が出ない。

(これはもしかして……)
 ズボンも用意をしてくれていたが、かなり折り曲げないと履けなかった。

(東條さん、足長すぎだよ)
 幸いウエストには紐がついていたので落ちないようにきゅっと強く結んでから、依織はリビングに向かった。

 東條は仕事の続きをしていたようでダイニングテーブルの上にノートパソコンを広げて何か作業をしている。
 すでに私服に着替えていて、ラフな東條の姿を目にしたのが初めてだったこともあり、ドキンとする。
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