偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 先ほどから今まで見たことのない東條の姿を目にして、何度もドキドキさせられており、依織は本当にこの人が好きなんだと実感するしかなかった。

「お先にありがとうございました」
「温まった?」
「はい」
 東條はパタッとノートパソコンをたたんだ。

「いいんですか?」
「ん? 構わないよ。少しだけ見直していただけだから。俺も行ってくるから、桜葉さんはゆっくりしていて」
「先にいただいてすみません」
「桜葉さんの身体が冷えないかと心配だったから、それでいいんだ」

 ゆっくりしていてとは言われたものの、あちこちウロウロするわけにもいかず、依織はそっとソファで顔を上げた。

 いちばん気になるのは窓の外の夜景だ。
 立ち上がって窓の近くまで行くと、足元には光の絨毯が広がっており、奥には公園や、ライトアップされたタワーも見えた。雨のせいか、全体的にもやがかかっているのすら、幻想的だ。

 見飽きることはなく、夢中になっていたら後ろから東條に声をかけられる。
「何か楽しいものでもあった?」

 依織はうしろを振り返る。
「あ、すごく綺麗だから、つい。いつまで見ていても飽きなくて」

「そうだね。今日は雨だから近くまでしか見えないけれど、天気が良ければもっと遠くまで見えるよ」
「雨も、いいですね」
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