偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません

3.

 二人が結ばれた日から互いの家を行き来するようになった。
 最初自宅へ招く時、東條の家ほど広くないからと言ったものの、依織の1DKの部屋さえ東條には楽しいようだった。

「来週からちょっと気の抜けない仕事に入るから、忙しくなるかもしれない」

 依織の部屋で一緒に映画を観ていて、東條に後ろから抱き込まれるようにして座っている。

 ちょうどエンドロールが流れる頃、東條がそんなことを言い出した。

「大変なお仕事ですか?」
「そうだな……」

 言葉を濁した東條に、きっと外部には漏らせない話なんだろうと依織は察する。
「仕方ないですね」

 依織の胸の前で交差された腕がぎゅうっと抱きしめてくる。
「俺は会えなくて、寂しいけど」
「私も寂しいですけど、東條さんが必要とされてるお仕事なんですよね?」

「まあ、そうだ」
「我慢しますよ」
 深い息を吐かれた音を背中越しに感じる。

 依織が振り返ると、東條は苦笑して髪をかき上げたところだった。
< 48 / 59 >

この作品をシェア

pagetop