偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 依織は食べ終わった皿を置いて、東條に目を向ける。
 東條は周りの人たちと話をしながら、飲み物を口にしていた。

 落ち着いた雰囲気の持ち主なのは離れていても分かる。
 あまり、感情を大きくは表さないのかもしれない。穏やかに対応しているのが見えた。

 気にして見ていて依織は気づく。
(何も召し上がっていないかも)

 東條の周りにはひっきりなしに人が来るので、食事を取りに行く時間もないのかもしれない。

 少し緊張しながら依織は東條の少し後ろへ行き、人が少なくなった時を見計らってそっと声をかけた。

「あの、失礼いたします。私、グローバルリンクツアーズの者ですが……」
「ああ、さっきの受付の」
「よろしければ、軽いお食事をお持ちしましょうか?」

 依織がそう言った瞬間、張り詰めていた彼の空気がふわりと緩んだ気がした。

「ありがとうございます。とても助かります」
「苦手なものはありますか?」

 その言葉に彼はふっと軽い笑みを浮かべた。
「いや……ないです」
「では、適当にお持ちしますね」

 依織はオードブルを丁寧に皿に盛りつけて東條のところに持っていった。

 東條はまた誰かに声をかけられたようで、軽く握手をしたあと話をしている。
 親しそうな雰囲気なので、依織は邪魔にならないように少し離れたところで立っていた。
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