偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
お腹に手を当てて、まだ見ぬ赤ちゃんに力強く心の中で語りかけた。
午後から出勤をしたものの、翌日以降、妊娠しながら働くことの大変さを思い知る。
先日までなんとも思っていなかったコーヒーの香りや、出汁の匂いなど、匂いのあるものがダメになってしまって、鼻に届いただけで込み上げてくる。
通勤電車の揺れや人混みでめまいを起こしそうになるし、自分は出勤すらできないなんてと落ち込む。
そんな依織の様子を見ていたチームメンバーのひとりが依織をリフレッシュルームに呼び出した。
「桜葉さん、間違っていたらごめんね。もしかして、妊娠していない?」
それは去年、育休から復帰してきたばかりの先輩だった。
しばらく迷って依織は答える。
黙ってばかりもいられないだろう。いつかは知られてしまうことなのだから。
「……はい。そうなんです」
「あ、やっぱり? 私の症状にとてもよく似ていたから、もしかしてと思って」
(どうしよう)
「結婚式はいつなの?」
「あ、結婚式はしなくて……」
「入籍だけするのかな? まあ、それでもいいよね」
違うのだと言わなくてはいけない。
きっとこういうことは今後、何度も起こる。
これから何度も同じことを説明しなくてはいけない。
だから、慣れなくてはいけないのだから。
午後から出勤をしたものの、翌日以降、妊娠しながら働くことの大変さを思い知る。
先日までなんとも思っていなかったコーヒーの香りや、出汁の匂いなど、匂いのあるものがダメになってしまって、鼻に届いただけで込み上げてくる。
通勤電車の揺れや人混みでめまいを起こしそうになるし、自分は出勤すらできないなんてと落ち込む。
そんな依織の様子を見ていたチームメンバーのひとりが依織をリフレッシュルームに呼び出した。
「桜葉さん、間違っていたらごめんね。もしかして、妊娠していない?」
それは去年、育休から復帰してきたばかりの先輩だった。
しばらく迷って依織は答える。
黙ってばかりもいられないだろう。いつかは知られてしまうことなのだから。
「……はい。そうなんです」
「あ、やっぱり? 私の症状にとてもよく似ていたから、もしかしてと思って」
(どうしよう)
「結婚式はいつなの?」
「あ、結婚式はしなくて……」
「入籍だけするのかな? まあ、それでもいいよね」
違うのだと言わなくてはいけない。
きっとこういうことは今後、何度も起こる。
これから何度も同じことを説明しなくてはいけない。
だから、慣れなくてはいけないのだから。