偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
「おいしいですね。ありがとうございます」
 カップを乗せたソーサーを手にして、東條は席に戻る。
 パソコンの画面を開いたものの、仕事は手につかなくて、真っ暗な窓の外を見つめた。

 思い出すのは日本を離れる少し前のことだ。
 東條の担当する東欧の国のひとつであるヴェルディア共和国で軍事クーデターが発生した。

 国家元首が親日派であったこともあり、ヴェルディア共和国は日本企業とも積極的に交易をしていた。駐在員も数多くいた中のクーデターだ。
 クーデターは発生すれば、昨日まで平和だった国が突如として危険な国となる。

 外交官は空港封鎖となる前に、邦人を速やかにその国から脱出させ、その身の安全を確保しなくてはいけない。

『ヴェルディア共和国でクーデター発生』
 第一報は現地大使館からもたらされた。
 軍部はまず、国家元首邸を襲い、その人々を人質に取っているという。

 軍部の代表が次の国家元首になろうとしていたらしいが、もちろん国家の承認など得られるはずもなく、クーデターという荒い手段に出たらしい。

 幸い、国家元首邸には邦人はいなかったとすぐに把握できたが、首都には多数の邦人がおり、救出しなくてはいけない。

 東條は現地駐在員と連携を取りながら、動かせる政府専用機の手配をする。
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