偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 依織が春花と一緒に住んでいるアパートは駅から商店街を通り抜けた奥にある。

 毎日、駅前の保育園へ春花を迎えに行って、それから商店街で買い物をして帰る。
「春花ちゃーん、お母さんのお迎えですよ」
 保育士が部屋の中に声をかける。

「はーいっ!」
 中から元気に春花が飛び出してきた。
 依織は自分の足に掴まる春花をぎゅっと抱きしめた。
「春花、先生とお話している間にお靴を履ける?」
「はけるよ」

 一生懸命、春花が靴を履いているのを見ながら、荷物を受け取った。
「春花ちゃん、今日もいい子でしたよ」
「ありがとうございます」

「じゃあ、またね!」
「はーい!」
 春花は担当の保育士とハイタッチしている。
 生まれた時からあまり手のかからない子で、今でもそうだった。

『二歳児は大変』
 そう聞いていたけれど、春花は聞き分けが良い方だろう。

 依織は春花に手を差し出した。
「春花、行こうか」
「うん!」

 春花の小さな手がきゅっと依織の手を繋ぐ。温かくて小さくて守りたい手だ。
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