偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 その通りだ。
せっかくの機会なので、少し交流をしてもいいか、後で上司の御堂に確認してみようと依織は考える。

 仕事への前向きな姿勢が好きな御堂はきっと許してくれるはずだ。

「あとで上司に確認して、できたら私も少し交流してみます」
 そう言った依織に東條は微笑みを向けた。
「そうですね」

 事務職なのだからと遠慮していたけれど、確かになかなか得られない機会でもあるし、本来の仕事を邪魔しない程度に交流もしようと依織は決めた。

「旅行会社に就職したのは旅行が好きだからですか?」
「それもありますけど、帰国子女なので語学を活かせる仕事をしたかったんです。でも、まだまだなんですけど」

 依織は商社マンの父を持ち海外経験が豊富だったため、旅行会社に就職を決めたのだ。

 希望だった海外企画部に配属された時は、天にも昇る心地だったが、新入社員には企画など任せてもらえるはずもなく、今は事務を黙々とする日々だ。
 それでもいつかのために、勉強は欠かしていなかった。

 依織の言葉に東條が軽く目を見開いて反応する。
「帰国子女! 俺と一緒です」

「そうなんですね。私は父がイギリスで駐在員をしていました。商社だったんです」
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