男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。

そう思った瞬間、胃の中がひっくり返るような気持ちになる。


けれど、背後は静かだった。



ゆっくりと鍵を開けて、ドアノブを回す。


カチャ……、と小さな音。



ドアを少しだけ開けると、冷たい夜の空気が流れ込んできた。


雨が降っていたのか、湿った匂いと、遠くの街の灯りの気配。



外は暗い。
 

でも、暗闇の方がまだ優しいと思った。
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