男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。

靴を履いて、最後に家の中を振り返った。



ここで過ごした時間。


ここで積み重なった痛み。



胸の奥が痛む。


でも、もう戻らない。


戻れない。



唇を噛み締めて、ドアを閉めた。



カチャン。


鍵をかける音が、やけに大きく響いた。


それが何かの合図みたいだった。
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