男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。

逃げるなんて。


そんなの、できるわけない。



何度もそう思った。


けれど、ここにいるのは、もっと無理だ。



自分の膝を抱えて、顔を埋める。


爪が皮膚に食い込むくらい強く握って、痛みで気持ちを保つ。



怖い。


でも、怖いからこそ、行くしかない。



男の子として生きるのが嫌だとか、そういう話じゃない。


私には、もう選択肢が残っていない。
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