男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。

第2話


窓ガラスに指先を当てたまま、しばらく動かずに、ただ外を見ていた。



……静かだ。


静かなのに、胸の奥だけがうるさい。



さっきまでそこにいた九条宗雅の声が、まだ耳の奥に残っている。



“謝るな”



あの言葉が、なぜか怖かった。


怒鳴られたわけでもないのに、背中が冷える感覚を拭えなかった。



机の上にもらったばかりの鍵を置いて、部屋の隅にバッグを下ろした。
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