男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。

……大丈夫。


まだ、何も起きてない。



唇を噛んで、ゆっくりと立ち上がった。


足が少しふらつく。けれど、止まったら駄目だ。



なるべく音を立てないように、バッグのファスナーを開ける。


財布。


身分証。


最低限の現金。


小さな薬。



そして、……お守り。

幼い頃から大事にしている、小さくて白いうさぎのぬいぐるみ。



手が震えて、何度も物を落としそうになる。
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