男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。

髪が全部隠れる。


長い黒髪も、女の子らしい輪郭も、全部、覆い隠されていくようだった。



鏡の中の私は、少しだけ“少年”に近づいていった。



次に眼鏡をかける。


フレームの重みが鼻筋に乗った瞬間、視界が狭くなった。



私は鏡を見つめたまま、喉の奥で小さく息を吐く。



……これで、いい。


これでいいんだ。


これで生きるしかない。
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