結婚したら義母3人と夫の愛人2人が屋敷に住んでいました(全員まとめて追い出します)【短編】
「あらぁ……。それは困りましたね……」
「どうしたの?」
ディアナとメイドが深刻そうな顔で会話をしていると、たまたま第一夫人テレーゼが通りかかり、一体何事かと尋ねてきた。
「実は……テレーゼお義母様に確認せずに、かなりの数の蔵書がいつの間にか入れ替わっていたのです。古い本は地下の物置に乱雑に放り込まれて、あやうくカビまみれになるところだったみたいです」
「なんですって?」
途端に、テレーゼの眉が釣り上がる。
彼女は先代伯爵の第一夫人――即ち正妻であり、序列や格式には厳しかった。伝統あるものを好み、貴族としての品格を大切にしていた。
アルベルトの花嫁にディアナを選んだのも彼女だった。
息子の愛人たちの存在は容認していたが、婚姻には身分が低すぎる。ディアナの生家のクシュタル伯爵家は近年財政的には厳しいものの、建国時からの古い家門で彼女のお眼鏡に適ったのだ。
「代々受け継がれている図書館の蔵書をあんな粗末に扱うなんて……。新しいものを認めるのは大事ですが、古くからあるものを守らないと」
「そうよね」と、テレーゼは深く頷く。
「私が嫁入りしたせいで、屋敷内の序列が乱れてしまったのかもしれなくて、申し訳ないです……」
「そんなことないわよ、ディアナさん!」
テレーゼは息子の嫁の両手を励ますようにぎゅっと握った。
「以前から、彼女たちの身位を弁えない態度はいかがなものかと思っていたの。これからは、わたくしがもっと目を光らせておくわ」
「ありがとうございます、テレーゼお義母様……!」