結婚したら義母3人と夫の愛人2人が屋敷に住んでいました(全員まとめて追い出します)【短編】
「アカデミーの予備試験、ギュンター様が首席だったそうですね。おめでとうございます!」
ディアナが祝意を述べると、第二夫人ドロテアは相好を崩した。
「あら、もう知られちゃったのかしら? ありがとう」
「ギュンター様はヨルク家の誇りですね! 素晴らしいです」
「そうかしら?」
「先日も、領地の治水工事の設計の算出方法を教えていただいたのです。私のような素人でも分かりやすくて、他の者も感動していましたわ」
「まぁ。あの子、そんなことをしていたの?」
「はい。学問の合間に、ささっと計算式を作ってくださっていたようです。……このまま領地運営をお任せしたいほどですわ」
ディアナの顔が微かに曇り、ドロテアはそれを見逃さなかった。
「まさか、領地運営が上手くいっていないのかしら?」
「いえ、そういうわけではないのですが。ご存知の通りアルベルト様は一切関与しないので、ギュンター様のような実績も能力もある方にお任せしたほうが、家門が安定するのかと思いまして……」
「まぁっ!」
ドロテアは興奮を隠せず大きく目を見開く。まさか長男の嫁が己と同じ考えを持っているなんて、夢にも思わなかったのだ。
「……あなたも、そう思うの?」と、彼女は周囲を確認してから声をひそめて訊いた。
ディアナも注意深い様子で小さく頷き、
「実際に領地の仕事をすると、本当に大変で……。やはり、ギュンター様のような頭の良い方のほうが適任だと思いますわ」
「そうよね、そうよね」
ドロテアは、アルベルトよりギュンターのほうがヨルク家の当主に相応しいと常々思っていた。
長男は城でも大した仕事をしていなく万年役職なしだし、愛人と遊びほうけて領地の運営もできない。
そんな無能よりも、才能溢れる我が息子のほうがずっと理想的な当主だ。
本来なら夫の味方である長男の嫁までそう思っているのだから、そうに違いない。