結婚したら義母3人と夫の愛人2人が屋敷に住んでいました(全員まとめて追い出します)【短編】


「あら、ラヘールお義母様(おかあさま)。これからお出かけですか?」

「分かる〜? 今夜はこれから歌劇を観に行くの」

 第三夫人ラヘールは、着飾った姿を見せつけるようにポーズを決めた。
 真紅のスレンダーラインのドレスに、ゴールドを基調にしたアクセサリーがぎらついてとても華やかだ。

「凄く素敵な装いですわ! 先月の夜会と同じドレス!」

「うっ……!」

 ディアナの無邪気な褒め言葉に、ラヘールはぎくりと肩を揺らした。

「やっぱり、あの時と同じドレスだって分かる……わよね?」

「鮮やかな赤がお似合いですから、すぐに分かりました!」

「はぁ〜……。そうよね……」

 さっきの自信満々な態度とは打って変わって、第三夫人は意気消沈に肩を落とした。

「思ったより予算が少なくて、ドレスも装飾品もあまり新調できないのよ……」

「そうなのですか?」

「そうっ! ……伯爵夫人になるし、第三夫人っていう気楽な立場だから結婚したんだけどねぇ〜。実際は厳しいっていうか……ドケチっていうか」

「そんな……」

 ディアナは酷く同情しているかのように、口元に手を当てて大仰に眉を下げた。

「ラヘールお義母様(おかあさま)は一番お若くて、華やかな格好がお似合いなのに勿体ないですねぇ……」

「そうそう! そうなのよ!」

「だから、好きに買い物をしても良いんじゃないですか?」

「へっ……!?」

「きっとお義父様(おとうさま)は、若くて綺麗な姿をずっと見たいのだと思います。なので、もっとお金をかけて美しさを維持するべきです。それが大旦那様のお望みならば、叶えなければなりませんわ。

 それに、失礼ですがお義母様(おかあさま)はお子様がいらっしゃらないので、養育費にお金がかかっておりません。ですので、その分お好きに使っても文句を言われる筋合いはないと思います。でないと不公平です!」 

 ディアナの熱弁に、ラヘールの顔がパッと晴れた。
 彼女は誰よりも贅沢を好み、上二人の妻たちに遠慮しなければならないことがずっと納得できなかった。

 長男の嫁の言う通り、たしかに子供がいないぶん他より金がかからない。なので、一人で二人分の予算を使って良いはずだ。
 だって、一番若くて一番美しくて、一番夫に愛されているのは自分なのだから……!


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