結婚したら義母3人と夫の愛人2人が屋敷に住んでいました(全員まとめて追い出します)【短編】


「話ってなんですかぁ〜?」

「改まって、何かあるのかしら?」

 ディアナはアルベルトが不在のあいだに、自室にローゼとシャルロッテを呼び出していた。

「どうぞ、お掛けになって? まずはお茶でもどうぞ?」

 二人の愛人は不審に思いながらも、今の己の身分ではさすがに正妻に逆らえないので渋々席に着いた。

「あなたたちは最近旦那様とはどうなの? 上手くやってる?」

「もっちろ〜ん!」

「アルベルト様はわたくしたちがしっかりサポートしておりますので」

 ディアナは返事もせずにゆっくりと紅茶を飲んで、そっとソーサーにカップを置いた。
 そのらしくない優雅すぎる様子にただならぬ気配を感じた二人は、自然と姿勢を正して固唾を呑んで正妻を見守る。

 少しの沈黙のあと、

「実は……今日は二人にお願いしたいことがあるの……」

 ディアナはかしこまった様子で愛人たちを見た。

「先日、医師から私は子供が出来ないかもしれないと言われてね」

「えっ!?」

「まぁっ……!」

 思いも寄らない告白に、ローゼもシャルロッテも驚きを隠せずゆっくりと大きく目を見開いた。

「医師からは、身体が弱いからまずは健康になってからと言われてね。だから、まだ夫とは寝室を共にしていないのよ。でも、ヨルク伯爵家には跡取りが必要だから……その……どちらか(・・・・)が……」

 ディアナは言い淀んで俯いたが、愛人たちは正妻が言わんとすることを察した。
 つまり、ローゼとシャルロッテのどちらかがアルベルトの嫡男――『伯爵家の跡取り』を生まなければならない。

 ディアナは悲しげに力なく笑う。

そうしたら(・・・・・)、私は第三夫人に下がるわ……」

 次の瞬間、愛人二人に熱い炎が灯った。

 先に男の子を生んだら勝ち。
 即ち、正妻になれる!


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