クールな機長は契約恋人の副操縦士を離さない
 ダイニングテーブルに並ぶのは、肉じゃがと、ご飯とお豆腐のお味噌汁だった。
 前回ランチをご馳走になった時は高級リストランテのような華やかな料理だったけど、今夜は定食屋で出てくるような素朴な和食で、何だかほっとした。

「隼人さん、これ全部作ったの?」
「ああ。パリ帰りなら和食が恋しいと思ってな」
 私のことを考えて作ってくれたことにありがたくなる。
「……隼人さん、泣かせないで下さい。感動するじゃないですか」
 隼人さんの心遣いに、じわっと涙が滲んだ。
「大げさな奴だな。泣いてないで食べろ。冷めるぞ」
 そう言って、隼人さんは人差し指で優しく私の涙を拭った。
「いただきます」
 私は手を合わせてから、肉じゃがに箸を伸ばした。
 醤油と砂糖の甘辛い味付けが丁度よくジャガイモに滲みていて笑みが浮かぶ。
「美味しい! この味付け実家の母と似てます。あ、お味噌汁もカツオのお出汁が効いてて美味しい! うわっ、このご飯、私の好きな柔らかさです」
「お前、もう少し落ち着いて食べろよ」
 隼人さんがクスッと笑う。
「だって何を食べても美味しいんだもん」
 今夜は胸がいっぱいで何も食べられないと思ったけど、隼人さんの料理が私の心をほぐしてくれたから、どんどん進む。
 完食してお箸を置くと、体も心もぽかぽかと温まっていた。

「ごちそうさまでした。本当にすごく美味しい食事でした」
「それは良かった。顔色も少し良くなったな」
「洗い物は私がやりますからね。隼人さん、お風呂入って来て下さい」
「皿は瑞希が洗う必要はない。食洗器に入れておけばいいから。それより、今後のことを話そう」
 隼人さんが真剣な表情を浮かべた。
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