クールな機長は契約恋人の副操縦士を離さない
 夕食後、今夜も一緒に眠るのかと思ったけど、隼人さんは「おやすみ」と言って、自分の寝室に行ってしまった。
 さすがにもう私を一人にして大丈夫だと思ったのかもしれないが、ベッドが広くて寂しい。
 しかも明日の夜は隼人さんは札幌でステイだ。

「……寂しいな」
 思わずそんな独り言が出た。
 昨日だって沖縄のホテルで一人で寝た時は寂しかった。だから今夜は隼人さんと一緒に眠れることを楽しみにしていた。
 あまりの寂しさにスマホを手に取り、待ち受け画面になっている隼人さんとのツーショットの写真を眺めると、ますます隼人さんの近くに行きたくなるから、困ったものだ。
 何度目かの寝返りをして、ベッドから起き上がった。

 喉の渇きを感じて、部屋を出ると、リビングのソファに座る隼人さんの後ろ姿があった。
 現在の時刻は深夜一時。隼人さんも眠れないのかもしれない。

「……これ以上は瑞希とは無理だな」

 声を掛けようとしたら、そんな言葉が聞こえてきて、心臓をぎゅっと掴まれた。
 一体何が無理なのか? 私はそんなに隼人さんに迷惑をかけていたんだろうか。
 一緒に暮らして一週間が経つが、私の方は何の問題もなく、むしろ快適に暮らさせてもらっている。

「瑞希に言うか……いや、ダメだ」

 項垂れた隼人さんが大きくため息をついたのを見て、私に出て行ってもらいたいんだと思った。
 知らない間に隼人さんを悩ませていたことが申し訳なくて、涙が出そうになった。
 契約恋人でいる間は隼人さんのマンションにお世話になるつもりだったけど、やっぱりご迷惑だったんだ。これ以上隼人さんの負担にならないように、明日出て行こう。そう決意し、寝室に戻ると枕に顔を埋めて泣いた。胸が痛くて仕方なかった。
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