クールな機長は契約恋人の副操縦士を離さない
***
「……涼介さん、好きな女が手の届く所にいるんだ。しかし、触れられないんだ」
今夜は札幌でのステイで、俺は涼介さんのバーにいた。
瑞希と暮らして一週間が経つが、彼女への募る想いを抑えるので必死だった。
「隼人、飲み過ぎだぞ。明日のフライトに影響するぞ」
涼介さんが心配そうに俺の前に水を置いた。
「フライトに影響があるほど飲んでない。ただ苦しくて。彼女の傍にいられることは嬉しいが、気持ちを抑えるので必死なんだ。きっと俺の気持ちを知ったら彼女は出て行く。彼女を守る為にも、それは絶対に避けなければいけない」
一番優先することは彼女を守ることだった。だから、この恋心は絶対に知られてはならない。だが、彼女と顔を合わせる度に抱きしめて、唇を奪いたくなる。
マリー橋でのあのキス以来、俺の想いは加速する一方だった。
「……俺はどうすればいいんだ」
額に手を当て、大きくため息をつくと、涼介さんが「いつも女性にクールな隼人が珍しいな」と言って笑う。
俺は今、笑われるほど滑稽なんだと思ったら、またため息が出た。
「そんなに難しく考えるな。どんな事情があるか知らないが、好きだと伝えればいいだろう。その彼女も隼人のことを想っている可能性だってあるんだぞ」
「それはない。彼女は俺以外の男が好きだから」
『幻の彼』のことが浮かび、胸が締め付けられる。
「彼女の口から聞いたのか?」
首を左右に振る。
「直接は聞いてないが、彼女の友人から同じ会社の副操縦士が好きだと聞いたんだ」
口にすると、胸の奥が焼けるように痛む。これが片思いの苦しさなのか。
「それは辛いな。気持ちはわかる。俺も必死で気持ちを隠していたから」
涼介さんがカウンターに飾られた模型飛行機に目をやった。
1/200スケールのB787で、兄がこの店で作っていたものだった。
「まさか涼介さん、兄のことが……」
涼介さんが寂しそうな笑みを浮かべた。
「樹と親友でいられて幸せだったよ。これ、隼人にやるよ」
涼介さんが両手で持ったB787を俺の前に置いた。その時、カタンという物音がしてハッとする。
「……涼介さん、好きな女が手の届く所にいるんだ。しかし、触れられないんだ」
今夜は札幌でのステイで、俺は涼介さんのバーにいた。
瑞希と暮らして一週間が経つが、彼女への募る想いを抑えるので必死だった。
「隼人、飲み過ぎだぞ。明日のフライトに影響するぞ」
涼介さんが心配そうに俺の前に水を置いた。
「フライトに影響があるほど飲んでない。ただ苦しくて。彼女の傍にいられることは嬉しいが、気持ちを抑えるので必死なんだ。きっと俺の気持ちを知ったら彼女は出て行く。彼女を守る為にも、それは絶対に避けなければいけない」
一番優先することは彼女を守ることだった。だから、この恋心は絶対に知られてはならない。だが、彼女と顔を合わせる度に抱きしめて、唇を奪いたくなる。
マリー橋でのあのキス以来、俺の想いは加速する一方だった。
「……俺はどうすればいいんだ」
額に手を当て、大きくため息をつくと、涼介さんが「いつも女性にクールな隼人が珍しいな」と言って笑う。
俺は今、笑われるほど滑稽なんだと思ったら、またため息が出た。
「そんなに難しく考えるな。どんな事情があるか知らないが、好きだと伝えればいいだろう。その彼女も隼人のことを想っている可能性だってあるんだぞ」
「それはない。彼女は俺以外の男が好きだから」
『幻の彼』のことが浮かび、胸が締め付けられる。
「彼女の口から聞いたのか?」
首を左右に振る。
「直接は聞いてないが、彼女の友人から同じ会社の副操縦士が好きだと聞いたんだ」
口にすると、胸の奥が焼けるように痛む。これが片思いの苦しさなのか。
「それは辛いな。気持ちはわかる。俺も必死で気持ちを隠していたから」
涼介さんがカウンターに飾られた模型飛行機に目をやった。
1/200スケールのB787で、兄がこの店で作っていたものだった。
「まさか涼介さん、兄のことが……」
涼介さんが寂しそうな笑みを浮かべた。
「樹と親友でいられて幸せだったよ。これ、隼人にやるよ」
涼介さんが両手で持ったB787を俺の前に置いた。その時、カタンという物音がしてハッとする。