クールな機長は契約恋人の副操縦士を離さない
「お姉さんスゲー美人! うちの店で働かない?」
「結構です」
 視線を合わせず男の前を通り過ぎようとしたら、右腕を強く掴まれる。
「まあまあ、そう焦らず。オレ、お姉さんに一目ぼれしちゃったかも」
「離して下さい」
 男の腕を振り払おうとするけど、指が食い込むほどの強い力で掴まれていてびくともしない。
「お姉さん、モデルさん? スタイルいいよね」
 へらへらとした笑みを浮かべたまま強い力で腕を掴まれ、頭の中が真っ白になる。
 男は私よりも背が高く、どっしりとした体型で、力ではとても敵いそうにない。
「人、呼びますよ」
「そんなに怖い顔したら美人が台無しだよ。さあ行こう」
 男が私の腕を掴んだまま歩き出す。私は引きずられるように前へ進んだ。
 これは本当にマズイと思った。

「助けて!」
 大声をあげるけど、男は全く動じない。
 通りを歩く男性たちもこちらに視線を向けるが、関わりたくないというようにすぐに視線を下げて通り過ぎていく。
 それでも叫び続けようと思った。警察官の耳に私の声が届くかもしれない。

「離して! やめて! 誰か助けて!」
 すると、誰かがコートの裾を翻して、こちらに向かって駆けてくる。
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