クールな機長は契約恋人の副操縦士を離さない
「女性が一人であんな所をうろつくなんて、危ないだろ」
 バーカウンターに落ち着いた高月キャプテンがじろりと私を睨む。
 金髪男から逃げた私たちは、キャプテンの知人が営むバー『スカイ』に身を寄せていた。カウンター席だけのこじんまりとしたバーで、落ち着く空間だった。

「……すみません」
 隣で私は背を丸めたまま頭を下げた。
 自分でも無謀だったと猛省中である。

「隼人そのくらいにしてやれよ。彼女ずっと頭下げたままじゃないか」
 カウンターの奥からバーテンダーの涼介さんが助け舟を出してくれた。
 年はキャプテンよりも少し上に見える。お洒落な顎鬚を生やしていて、優しそうな雰囲気の人だ。

「俺は今夜、南雲の悲鳴を聞いて、寿命が縮まったんだ。まさかと思って駆けつければ、金髪男に連れて行かれそうになっていたんだぞ。あそこは人さらいが出るのか?」
「あの場所はガラの悪い連中が多いからね。女性一人は危なかったね」
 涼介さんの言葉を聞いて、ますます無謀だったと思えてくる。
「本当にすみませんでした」
 さらに深くキャプテンに向かって頭を下げると、頭上で重たいため息が零れた。
「二度と危ないことはするなよ」
 不意に、大きな手が私の頭をくしゃっと撫でて、心臓がキュッと縮まる。まさか頭を撫でられるとは思わなかった。
 勢いよく顔を上げると、高月キャプテンの切れ長の目が見た事のない程優しく細められていた。その表情になぜかドキリとする。
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