クールな機長は契約恋人の副操縦士を離さない
「キャプテン?」
「このままで。厄介な相手が来るから」
 そっと耳打ちされた。
 私たちの前に立ったのは仕立ての良さそうなスリーピースを着た銀髪の中年男性だ。
「隼人、来てくれてありがとう」
 英語で話しかけられ、高月キャプテンが笑みを浮かべる。
「ミスター・スターリング。こちらこそ、招待ありがとうございます」
「そちらは?」
 ミスター・スターリングはにこやかな表情で私を見るが、ブラウン色の瞳は冷たく見えた。
「南雲瑞希です」
 英語で答えると同時に高月キャプテンの言葉が重なる。
「俺の恋人です」
 恋人という言葉にびっくりして、高月キャプテンを見上げるが、キャプテンは涼しい顔で嘘を重ねた。
「彼女とは結婚を考えた真剣な交際をしています」
 ミスター・スターリングが意外そうに眉を上げる。
「隼人はミスター白鳥の娘と交際しているのではないのか?」
「うちの白鳥から聞いたんですか?」
「そうだが」
「白鳥と親しいんですね」
「ああ。先週、東京で会った時は彼の娘の綾音にも会ったよ。隼人ともうすぐ結婚すると言っていたが、私の聞き違いだったようだ」
 英語で交わされる二人の話を聞きながら、白鳥とはうちの副社長のことで、その娘とは広報の白鳥綾音だという所までは推測出来た。
「まあ、楽しんでいってくれ。そちらのお嬢さんも」
 そう言って、ミスター・スターリングが私たちの前から立ち去った。
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