クールな機長は契約恋人の副操縦士を離さない
「きゃっ!」
「パリから戻って来てすぐに電話すれば、水沢と居酒屋にいるなんて言いやがって。恋人に対してあまりにも酷い仕打ちじゃないのか」

 私の動揺には全く動じず、ビーズクッションの上に寝転んだままの隼人さんが私を抱き寄せる。ワイシャツ越しに隼人さんの匂いと体温を感じて、何だかほっとする。

「……しかも、俺の用事も聞かずに電話切るしな」
「そうでしたっけ」
「この酔っ払いが」
 隼人さんが優しい力で私の頭を拳で小突いた。
「水沢といると聞いて、心配したんだぞ。俺以外の異性との交流は控える約束だっただろう?」
 そんな条項が契約書にあった。
「わかっていますよ。今夜は偶々、水沢さんもいたんです。今岡キャプテンもいたんだから、二人きりではないですよ」
「二人きりじゃなくても気をつけろ」
 今度は隼人さんが私の頭を強い力でぐりぐりし出した。
「痛っ。ちょっと頭ぐりぐりやめて」
 ムッとして隼人さんの顔を見上げる。
「そうか。瑞希は頭が凝ってるんだな。特別にマッサージしてやる」
「うわっ、痛いって。そこ痛いから」
 隼人さんの両拳が私の頭を挟み、側頭部から後頭部にかけてぐりぐりとマッサージをし始めるが、かなり痛い。
「うわっ、そこダメ!」
 隼人さんのマッサージは終わらない。五分くらいぐりぐりされてようやく解放された。
「もう、隼人さんのいじわる」

 起き上がろうとしたら、また隼人さんに腕を引っ張られた。
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