クールな機長は契約恋人の副操縦士を離さない
 翌日は羽田新千歳の往復で、羽田に帰ったのは午後二時だった。

「瑞希!」

 フライトバッグを持って、オフィスに向かって空港内を歩いていたら、突然、背後から声をかけられた。父だった。その瞬間、航空博物館で新しい家族と幸せそうに笑っていた父の姿が浮かんだ。

「瑞希、待ってくれ」
 無視して歩くと、父が駆け足で近づいてくる。

「話すことはありません。どうぞ、お引き取りを」
「……瑞希、すまなかった。瑞希には本当に苦労をかけた」
 父の言葉が白々しく聞こえる。

「お父さん、少し余裕が出来たから、これからは菜々美の学費と、お母さんの医療費援助するから」
 家族を捨てたくせに今さら何を言うのか。
「けっこうです! あなたの援助はいりません」
「瑞希、この通りだ。許してくれ!」
 いきなり父が私の前に回り込んで、床に膝をついて土下座した。
「ちょっと、やめてよ!」
 周囲には沢山人がいて、何事かとこちらを見ている。
「頼む。一度だけでいいから、話を聞いてくれっ!」
 スカイクレスト航空の副操縦士の制服姿でこれ以上目立っては、会社の信用にも響く。仕方なく父を近くのカフェに連れて行った。
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